2022年9月30日に「SE215 Special Edition」の新カラー「パープル」の販売が開始された。
その新カラーの登場には、どのような背景があったのか。そもそも「SE215」って一体どのような製品なのか。プロダクトマーケティングマネージャーの「柏井」氏と、広報担当者様へインタビューする機会を頂けた。

インタビュー内容に移る前に「SE215」について簡単に解説させていただきたい。

「SE215」について。

「SE215」は2011年に発売され、6mmのダイナミック型ドライバーが搭載された高遮音性イヤホンで、最大37dBの騒音を遮断出来るイヤホンだ。
インイヤーモニターのルーツを持ち、人間工学に基づいた薄型デザインで装着感も良く、耳にケーブルを掛ける装着方法、所謂「シュア掛け」による装着のため、ケーブルが邪魔にならず激しい動きを伴う時もイヤホンが外れずに長時間使用しても快適な装着感が持続する特徴がある。ケーブルはMMCX端子が採用され、用途や場面に合わせた各種ケーブル・アクセサリーが装着出来る。
※インイヤーモニター…ミュージシャンやオーディオエンジニアが音響チェックを目的に装着するイヤホンのこと。

新カラーが登場したのは、「SE215 Special Edition」の方で、音響抵抗スクリーンを採用したことで通常モデルに比べ、より厚みのある低域再生を実現したモデル。
初代モデルは2012年に登場し、今年で11年目の歴史を刻むベストセラーである。

「SE215」シリーズ
カラーバリエーション


我々は、新カラー「パープル」が登場した「SE215 Special Edition」について、発売された経緯をはじめ、設計思想や「SE215」に秘められた思いを伺った。

「SE215 Special Edition」新カラーのパープル

SE215 Special Edition発売の経緯について

―― 今回、新色をリリースされるに至った経緯をお聞かせください。

SHURE(柏井):「SE215」は10年以上前から発売されている、ベストセラーの商品です。音の良さに定評があったのも人気の製品である理由の一つですが、現在はゲーミングユーザーからも注目され、新たな層からの人気が高まっています。そこで、より様々なユーザーに使っていただけるよう、ファンとのコミュニケーションを取りつつ新カラーを出したいという背景から今回リリースするに至りました。

柏井 氏

2022年3月18日~3月28日の期間でカラー投票を行い、「パープル」が投票によって選ばれましたが、他にはグリーン・オレンジ・レッド・ピンクがありました。ちなみに「パープル」は、パントン社が行っている「カラー・オブ・ザ・イヤー」でパープル系統の色が選ばれていることもあり、流行的にも選ばれるべくして選ばれたカラーなのかもしれません。

SE215の日本におけるターゲット層について

―― 日本におけるターゲット層と、どのような方に使って頂きたいか教えてください。

SHURE(柏井):ミュージシャンの意図した本当の音楽や原音を、より良い音で楽しみたいというお客様をターゲットだと考えています。

SHUREのイヤホンは、元々インイヤーモニターとして開発されてきた背景があります。一般的なイヤホンで見られる、かまぼこ型やドンシャリ型といった、原音をデフォルメしたような音では無くフラットな音響特性を持ち原音を忠実に再生する、つまりはミュージシャンが表現したい音を届ける意図を持つイヤホンで、原音を聴きたいお客様に使っていただきたいと考えています。

他社のイヤホンを使っているお客様でしたら、「SE215」で視聴すると「音楽ってこんな音だったのか!」という発見があるのではないかと思います。そういった部分に気がついていただけたらなと思っています。

SHUREのイヤホンは約20年の歴史があります。当時は初代iPodが発売された時期でイヤホンの相場は3000円ほどでしたが、1万円のイヤホンは結構高額だったのです。そのような背景がある中、とあるミュージシャンから「インイヤーモニターを一般向けに販売したら良いのではないか」と提案があったことを受けて販売するに至っています。

原音を忠実に再生する特徴を持つイヤホンですので、FPSゲームが流行している今、足音や銃声を聞き分けて敵の位置を予測しやすいことがゲーミングユーザーから必然的に発見され、ゲーミングイヤホンとしての用途としても高い支持を受けています。

SHURE(広報):SHUREのイヤホンは人間工学に基づいたデザイン設計をしているので、長時間装着していても疲れにくいメリットがあります。ライブやレコーディングの他にもゲーミング用途として長時間の着用に耐え、ヘッドセットの下に重ねた使い方も発見されてきています。

SHURE(柏井):インイヤーモニターとして開発されているので耳栓レベルの高い遮音性能を有しています。ノイズキャンセリング機能付きイヤホンも多く流通していますが、人工的に環境音を遮断しているので再生される音が加工されてしまうことで違和感を抱く場合があります。それに対し、SHUREのイヤホンはノイズキャンセリング機能を搭載せずとも高い遮音性で環境音に影響を受けることなく原音を再生出来ることが強みですね。

SHURE(広報):カラーバリエーションも美しく仕上がりましたし、イヤホンのケーブルを耳に掛けて装着する「シュア掛け」も是非とも試して頂き、ハマってもらいたいなと思います(笑)

SE215の製品概要について

―― SE215の製品概要について教えてください。

SHURE(柏井):「SE215」は11年前に発売されたイヤホンで、ケーブルを除く本体の基本的な設計は変わっておりません。6mmのダイナミックドライバが搭載されたシンプルな構成で作られています。

SHURE(広報):MMCX(エムエムシーエックス)規格のコネクターを採用し、本体とケーブルを取り外せるようになっているのも特徴です。イヤホンの故障は断線などのケーブルに起因するものが多く、ケーブルだけ購入頂ければ通常通りまた使えるようになりますし、用途に合わせてリモート&マイク付きケーブルへの交換やワイヤレス対応ケーブルへの交換も可能となっています。

ストレートケーブル

UNIケーブル

完全ワイヤレス・セキュアフィット・アダプター

SHURE(柏井):設計思想として、良い物を作って長く使っていただくことに重点を置いています。「SM58」というマイクが50年以上も同じ設計で今に至るまで販売し続けています。それに比べてSE215はまだ短い方ですね(笑)

ダイナミックマイクロホン「SM58」

シュアにとってSE215シリーズとは…

広報担当者様

―― シュアにとってSE215シリーズとは、ずばりどのような製品なのでしょうか。

SHURE(広報):私としては、SHUREの顔です。SHUREにはヒーロープロダクトと呼べるものが数多くあり、社内には「SM58」や「レコード針」と答える方もいるかとは思いますが、その中でも「SE215」はSHUREのイヤホンをロングセラーにしてくれた製品で、多くの方に愛され沢山のレビューを頂けています。

SHURE(柏井):イヤホン界の「SM58」といって良いのか分かりませんが、かなり近い存在だと思います。SHURE製イヤホンの沼の入り口とも呼ばれているようで、リケーブルへの挑戦や上位機種に買い替えをしているうちに「SE846」に行き着く…みたいなこともあるようです。
※SM58…SHUREが1966年に発売したダイナミック型マイクロホンであり、マイク界の「事実上の標準」を作り上げた製品
※SE846…SHUREが2013年に発売した、高遮音性イヤホンSEシリーズのフラッグシップモデル

―― SHUREの顔といっても過言ではないような存在なのですね。

SHURE(広報):そうですね。他社に無いカラーを採用しているので、アーティストが装着していると目立ちますし、遠目からでもSHUREのイヤホンだと見分けが付きます。今回の登場した「パープル」も、「SE215」の定番カラーとして愛されるような存在になって欲しいなと考えています。

柏井様・広報担当者様に聞く「SE215」ここが一推し!

―― これまでお話をしてきましたが、柏井様と広報担当者様に「SE215」のイチオシポイントをそれぞれ伺ってもよろしいでしょうか。

SHURE(柏井):イチオシポイントとしては、やはり「音質」です。音質の良し悪しは抽象的でとても分かりにくい部分ではあるのですが、私の体験談を申し上げると、他社のイヤホンを使うと最初は「派手で良いな」と感じますが、しばらく使うと音質にすぐ飽きてしまい、SHUREのイヤホンに戻ってきてしまう、そんな魅力があります。

約20年前に初めて購入したSHUREの「E2c」というイヤホンを聴いた時「こんなイヤホンがこの世に存在するのか!」と衝撃を受けたほどでした。
仕事柄もあって様々なイヤホンを試聴する機会がありますが、最終的にSHUREのイヤホンに戻ってきてしまう不思議な魅力がSHUREのイヤホンにはあると感じます。

SHURE(広報):カラーバリエーションが豊富ですし、今回新たに登場したパープルの「SE215」も美しく仕上がったカラーです。オシャレで珍しい色を身に着けて外出するように、生活の一部のように使って頂きたいと思っています。

広報担当者様

先程も申し上げましたが、ケーブルを交換することでワイヤレス化することも出来ますし、遅延を許さないゲーミング用途としては有線で、会議やボイスチャットで使う場合はマイク付きの「UNIケーブル」へリケーブルして頂ければなと思います。

私は自宅では有線ケーブルを使い、通勤ではワイヤレスにしていますし、リケーブルすることで様々な場面や用途に対応出来るイヤホンなので、イヤホンに投資するにはとても良い製品なのかなと思いました。2年保証も付きますので、壊れても大丈夫です(笑)
※UNIケーブル…SEイヤホン用 リモート+マイク搭載3.5mmステレオミニプラグ対応ユニバーサルケーブル(RMCE-UNI)

―― SHUREのイヤホンを長年使わせて頂いているのですが断線もしませんし、なかなか壊れないですね!?

SHURE(広報):大事に使って頂けているからだと思います、ありがとうございます。

SHUREが皆さんに伝えたいこと

SHURE(柏井):SHUREの強みとしては、「SM58」というマイクを作っているように、音の出口だけではなくて入口もやっていることだと考えています。イヤホンを専門に製造しているオーデイオメーカーでは出口側しか開発していませんが、入口も出口もSHUREは理解しているので、原音を忠実に再現する設計思想やボーカルの聞こえ方などは、マイクを開発する時のノウハウも生かされていると思います。

柏井 氏

―― 入口に入った音を、出口で忠実に再現する技術やノウハウが詰まっているということなのですね。

SHURE(柏井):その通りですね。マイクの音を受ける部分は「ダイナミックマイクロホン」というユニットが搭載されていて、イヤホンは「ダイナミックドライバ」が搭載されていますが、基本的な構造は同じなのです。糸電話で例えるなら、入口も出口も「震える部分」であって、入口と出口の両方を開発・製造しているということなのです。入口と出口の両方を理解しているエンジニア達が作ったイヤホンであることを知って頂けたら嬉しいです。

SHURE(広報):音の再現度や忠実性という点で命を懸けている会社ですし、音の入口と出口の両方を理解している素晴らしいエンジニア達が支えている会社なのです。

―― 音のすべてを理解しているからこその製品作りによって、多くの皆さんに愛されているのですね。

SHURE(広報):はい。現場でも、再現性の高いイヤホンでないと実際に出ている音と聴いている音が異なってしまいますし、アーティストが意図した音作りが出来なくなってしまいます。このような場合もインイヤーモニターとして派生したイヤホンが最適解になるかと思います。

「SE215」は価格的にも性能的にも優秀なイヤホンで、リケーブルに対応しています。リスニング・ゲーミング・モニタリングと様々な用途に使えますので、是非使ってみてほしいです。

―― 偶然にも訪問させていただく直前に取材メンバー同士で収録に使うイヤホンをどれにしたらいいか相談していました。今日お話を聞かせていただいて、「SE215」のパープルを買う決心が付きました。

SHURE(広報):そうだったのですね!?すごく嬉しいです、大事に使って頂けたら幸いです。

―― 本日はお忙しい中、ありがとうございました。

インタビューの内容は以上となります。
今回は、SHUREの看板イヤホンである「SE215 Special Edition」の新カラー「パープル」についてのお話とSHUREの音に対する思想や設計について貴重なお話を、伺うことが出来ました。

家電量販店や専門店で、SHUREのイヤホンに触れる機会があったら是非とも試聴していただきたい、きっとSHUREの音に対する考え方を体感出来ることでしょう。

Shure (シュア)について

Shure(www.shure.com)は、およそ1世紀に渡って人々が驚くほど冴えわたるサウンドを世界に送り出してきました。1925年に設立され、その品質、性能、耐久性で知られているオーディオ機器の世界的リーディングカンパニーです。マイクロホン、ワイヤレスマイクシステム、インイヤーモニター、イヤホン/ヘッドホン、会議システムなど様々な音響機器をユーザーに届けています。クリティカルリスニングで、ここ一番の大事なステージで、スタジオで、そしてミーティングルームでも、いつでもShureがあなたを強力にバックアップします。
Shure Incorporatedは、米国イリノイ州ナイルズ(Niles)に本社を置き、米国、ヨーロッパ・中東・アフリカ、アジアに30以上の製造施設と販売拠点を有しています。

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公式サイト:https://www.shure.com/ja-JP
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「SE215 Special Edition」製品ページhttps://www.shure.com/ja-JP/products/earphones/se215spe