プレイ意向者は「自分が知っているゲームタイトルやシリーズの配信」を最も重視
株式会社ゲームエイジ総研(代表取締役社長:光井誠一)では、国内唯一の「ゲームビジネスに特化したマーケティングリサーチ&コンサルティングファーム」として様々な分析を行っています。
2019年3月20日、Googleから、デバイスを問わずにハイスペックなゲームをプレイできるとされる新サービス『Stadia』が発表されました。『Stadia』は、次世代通信規格である5Gの高速通信を利用した、まさに“ゲーミングプラットフォーム”であり、パッケージ販売、プログラムダウンロード販売といった従来型のサービス形態とは大きく異なるものです。
当社では、今後この『Stadia』がサービスインするまで様々なアプローチでトラッキングを実施し、本サービスに対するマーケットの意識の変遷を捉えていこうと考えています。今回は、『Stadia』発表直後のユーザーニーズを調査しました。
■情報初出し時点における『Stadia』の認知度は3.1%
今回の調査で「『Stadia』を知っているかどうか」質問したところ、「『Stadia』を知っている」と回答した人は3.1%でした。【グラフ1】
Googleの革新的プラットフォームとして、国内外のエンタテインメント業界で大きな話題になりましたが、一般消費者への認知は低く、まだ伸びしろがあるという印象を受けます。
また、これからロンチを迎える『Stadia』の比較対象とすることはできませんが、同様のクラウド型ゲームサービスとして、2015年夏終盤に既にサービスインしている『PlayStation Now』の認知は、6.5%という結果でした。これまでにも、“オンデマンド”を謳ったストリーミング型ゲームサービスはありましたが、殆どがユーザーを限定する比較的”閉じた”サービス形態でした。また、ハイエンドと言いながらも、ゲームクオリティの高さを多方面から確実に実現するのは、環境に依存する部分が大きいのが実情でした。その一方で、『Stadia』はこれまでにない自由さを特徴としていることに加え、5Gを技術的背景とした完全な”新機軸の”サービスであるというイメージを前面に押し出しています。その手軽で画期的なイメージから、サービスインまでに3.1%の認知を飛躍的に高めていくことも十分に可能であると考えられます。
■『Stadia』のプレイ意向は6.9%
興味を集めた項目は「自分が知っているゲームタイトルやシリーズの配信」
発表された『Stadia』のサービス内容や特長を提示し、ユーザーから各項目への興味を聴取したところ、最も興味を持たれていた項目は、「自分が知っているゲームタイトルやシリーズの配信」(非常に興味がある+興味がある15.3%)でした。【グラフ2】
これまでのゲームサービスと同等のサービスレベルを『Stadia』にも求めている姿がうかがえます。ある種、保守的とも言える項目にニーズが集まっているところに、打ち出した新しさとは裏腹に、”従来のゲームサービスの延長”と認識されている傾向も見られます。
その他の項目は、多少の差異があるのみで、決して強い興味を持たれているとは言えません。今後は、サービス情報がより具体化していくことで、それぞれの項目に対して、世の中の多様な個人の興味度が上がっていくことが期待されます。
■“新たな価値と方向転換のしやすさを提供できるか”が重要なポイント
映像や音楽コンテンツではストリーミングというサービス形態が利用されるようになり、よりコンテンツとの接点が広がっています。そのようなサービスの変化は、消費者の価値観自体に多様性をもたらしたと言えるでしょう。この新しい『Stadia』の仕組みがユーザーに受容されれば、ゲームへの価値観や楽しみ方が大きく変化する可能性もあります。
ゲームが、音楽や映像のように新しいサービス形態を開拓しづらい要因の一つとして、”データストックが面倒”“最上級に楽しむためそれなりの環境が必要”等いった理由が挙げられます。しかしこれらは、5Gという技術革新により、ダウンロードや記憶メディアの存在すら意識させない形で提供が可能となればいずれ解消されるでしょう。
『Stadia』の認知度・利用意向の拡大は、”ゲームを愛する全てのユーザーに、新たな価値と方向転換のしやすさを提供できるか”という点が重要になるように思います。